エル・テホーム(死海魚のエネミー)の唯一現存する記録映像。ノイズと色収差が激しく、輪郭以外はほとんど判別できない。
唯一現存する記録映像 / 損傷多数・解析不能
機密 / Classified 近縁種族

エル・テホーム死海魚のエネミー

正式名称:繁殖生物型外来敵性霊体「死海魚」

体長12〜15m
種別II型・生物種族
エネミーレベル6
出典大陸魔導協会 剛毅部門

概要Overview

古の書物には海の怪物として描かれてきた強大な個体。知性を持つが、人類を明確に敵とみなしている。

凶兆(エヴラエル)と同様、召喚によってのみ顕現するが、条件として海上(海中でも可)や、海に縁のある供物を献上する必要があるとされる。雌雄で体格差があり、雌の方が一回り大きい。産卵数は一度に数千万にのぼるとされ、最大の特徴は老いによる死を迎えないこと——鯨よりも長寿とされる。

異能「潮流」Ability

音に似た振動を発する能力。地上では音波攻撃として機能し、近距離で直撃すれば脳震盪による即死、遠方でも体調不良を訴える例が続出するという。

この異能は水中でこそ真価を発揮する。振動によって波を起こし、市町村単位で災害級の被害を及ぼすとされ、この個体を不用意に召喚して水没した因習村があるとも噂される。

考察 ― 本項執筆者より

私が原初的な恐怖を呼び起こす霊体と相対する度に思うのは、我々はきっと、この存在を完全に理解できる日が来ないという事。
エル・テホームもまた、そういった存在の一つ。

老いによる死がない、という記録がある。討伐や病による死の報告はあっても、寿命による自然死の例が一件もない。
ただし、これが「本当に死なない」ことの証明にはならない。
単に、我々の観測期間がこの個体の寿命に対してあまりに短すぎるだけかもしれない。千年後、万年後に振り返れば、単なる長寿の一種として片付く可能性すらある。あぁ、分からない。分からないのだ。

産卵数、幾千万。これほどの数を必要とする理由も、正直なところ見当がつかない。
本来ならば生態系の頂点にいるはずの種族が、なぜここまで数を残そうとするのか。
彼らの上位に"何か"がいるのではないか、と考えたくなる自分もいる。だがそれもただの想像に過ぎない。海の底の論理を、陸の学者が推し量ることに、そもそもどれほどの意味があるだろう。

上記した「因習村が沈んだ」なんていう話も、真偽の確認しようがない。確認する術がないという事実そのものが、この個体を語る上で一番正直な答えなのかもしれない。

— 本項執筆者による所感(観測記録時点の私見であり、当会の公式見解ではありません)
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